第49話 内部資料


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 【能力者】

 寄白美子、九久津毬緒のように特殊な能力を用いてアヤカシと闘う者は「能力者」と呼ばれる。

 「能力者」は全世界に一定数存在していて日夜アヤカシと戦闘を繰り広げている。

 大多数の能力者は各国の対アヤカシ担当の組織に従事している。

 当然、組織に属さない能力者も存在する。

 ここでいう各国とは国連加盟国であり、非加盟国についてのアヤカシと能力者の関係性は不明。

 対アヤカシ組織には「サポート部」「救護部」「(情報)解析部」などがあり、各国の当局がすべてを統括している。

 上級アヤカシについては各国との連携が最重要課題である。

 【思念】

 人間にプラスの思考とマイナスの思考があるように、思念にも「正」と「負」が存在する。

 ここでいう思念とは思考が体外を漂う微生物雲びせいぶつうんに近い。

 つまり負の力と正の力である。

 主に生物から放出される負の力を負力ふりょくと呼び、正の力は希力きりょくと呼ばれている。

 瘴気も負力の一種である。

 【寄白美子】

 十字架のイヤリングは負力の入れ物でありアヤカシを封印するか退治するかの判断は術者(寄白美子)の裁量に委ねられている。

 負力をイヤリングに取り込んだ場合は寄白美子の体を通じて徐々に濾過される。

 ただしアヤカシとの戦闘にも負力を使用するため、つねに一定量の負力を備蓄しておかなければならない。

 ゆえに負力の需要供給の調整が必要。

 また寄白美子が、他者に危害を加えないと判断すればアヤカシを保釈することもある。

 【アヤカシの退治の判断について】

 アヤカシの出現時は人畜無害な場合も多く、退治、封印、釈放どの経路を辿るかの経過観察と見極めが必要。

 ただし近い将来、必ずブラックアウトすると判断した場合はただちに退治しなければならない。

 上級アヤカシは狂暴性きょうぼうせいが高く、退治しなければならないことが多い。

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 これは俺が校長にもらった資料のごく一部だ。

 サラっと読んだけだけどアヤカシや能力者それに付随するおおまかな説明が書かれていた。

 アヤカシは世界中に存在していて、それと戦う能力者も世界中にいるってことになる。

 六角市にいる能力者が寄白さんと九久津ってことか。

 まあ、それもそうだよな都合よく六角市にだけアヤカシがいますってのは納得いかないし。

 名のあるゆうめいな、アヤカシがいる時点で棲息範囲は広いって証拠だよな。

 そして、いろいろな国にも対アヤカシの組織があるんだ。

 てか、映画とかにある――当局に追われているんだ。助けてくれ!?って言葉は詐欺師が使うセリフじゃなかったのか。

 この資料を読むかぎり当局ってのがすべてをまとめる組織のトップってことになる。

 ……じゃあ、七不思議製作委員会を作ったのもこの当局ってことになるだろうな。

 校長のいってた「上」ってのもこの当局か? こいつらが六角市に瘴気を閉じ込めることにした? この資料からすると寄白さんと九久津の傷をわずか二日で治したのは「救護部」ってことになる、よな……?

 「シシャ」から受けた傷をこの短期間であれだけきれいに治すのは現代医学でも難しいはずだ。