第462話 黄金の流星


 幻なのかなんなのか。

 空の奥にやけに大きな流れ星が見える。

 ダメージがあたまにきてるのかも。

 

 ああ、でもこの泥(?)が俺の本体なかみへのダメージを軽減してくれてたかんじがする。

 現実的にも着ぐるみ着てるようなもんだし。

 その反面、俺と体の外身がずれた感覚がする。

 さっきまでは完全一致だったはずなのに。

 軽く右の人差し指を動かしてみると、じゃっかんの時差があった。 

 さっきの一発でゼロの召喚術がずれたのか? 

 だいだらぼっちのパンチ効いてるな。

 じょじょに現実が理解できてきた。

 あれってじつは、ただのパンチじゃなく能力的なものなのかも。

 

 ……ゆっくりと空を進んでくる流れ星。

 流れ星ってこんなに動きが遅かったっけ? 風の強い日飛ばされてるビニールみたいだ。

 ふわふわゆらゆらしてる。

 まさかこれ眩暈か?

 いったん視覚を遮断してみる。

 聴覚が敏感になる、だいだらぼっちの足踏みが聞こえた。

 祭りの太鼓みたいにドンドンいっていて、一段と速度があがった。

 すべてを踏みつぶしてくのか。

 ただ、目をつむると、ゆらゆらもふわふわもない。

 目眩ってわけじゃない。

 目を開くと、やっぱり流れ星だった。

 まずは、倒れたままの寄白さんと九久津をなんとかしないと。

 手で軽く掴んで、俺の腹の上で腕を抱えるように丸めれば、なんとか守れそうだけど。

 それでも、だいだらぼっちに踏みつぶされたら、この体ごと真っ平かもな。

 流れ星は一般的な流れ星の光よりも、もっと輝いていて金色だ。

 金色の流星が、ゆっくりと降ってくる。

 こんなときに、流れ星に願いごとでもしろってのか?

 あんなにゆっくり流れ星が進んでくるなら、余裕で願いごと三回唱えれるんじゃないか?

 どうか、この状況を打破なんとかできますように。

 他力本願になったら、いよいよ終わりか。

 あと、二回も同じ願いごとができた。

 まだ余裕があんの? もう、一個願いごと。

 アスって娘が山田のコメを拾って話すタイミングで山田のWi-Fi一回切れろ。

 え、あ、な、流れ星じゃなくて龍だ。

 金色の龍。

 あんな隕石があるわけないよな。

 俺が首を擡げると、金色の流れ星がいっきに加速してだいだらぼっちの顔の横を貫いていった。

 

 え、やっぱり隕石、か? ただ、だいだらぼっちの顔の横でニ、三回岩の砕ける音がした。

 

 なにがおきた? 

 なんか物理法則をこえた動きしたぞ。

 ついにUFO襲来か? ピカピカ光ってるUFOは空の奥にきてるけど、あれは近づいてこないんだよな。

 これってつまりは「宇宙人」VS「アヤカシ」。

 なんかもう打ち切り間際の漫画が、ヤケクソになってどうにでもなれって展開じゃん。

 エネミーとこの話のアリナシをするなら、まあ、ナシだよな。

 なんで突然UFOが出てくんだよ!!ってなるわ。

 だいだらぼっちは、ひっくり返ったまま顔を押さえて、足をジタバタさせている。

 これはダメージによるものなのか、水底すいてい地団太じだんだの途中なのかわからない。

 だいだらぼっちは、上体からだを起こし蔦の鞭を振るった。

 鞭は斜めの軌道からしなって田んぼに落下おちた、流星に当たる。

 瞬間、鞭は熱した鉄板に落ちた水のように、一瞬で弾き返された。

 落下した隕石の近くでなんか動いてる?

 ひ、人影。

 黄金の羽衣を纏った、誰かかがいる。

 あれが宇宙人?

 羽衣というか蛇が体に巻きつくように、金色の龍が体に纏わりついていた。

 「こっちは、あとでいいか」

 

 誰かが俺に向かって言った。

 ――あとでいいか? その意味に気づくのに数秒かかった。

 え、あ、そっか、俺のこの体も斑模様はあるけど見た目は、だいだらぼっち。

 か、完全に敵、認定されてる。

 いや、まあ、そうなってもしかたないよな。

 九久津も寄白さんも倒れてて、けっこうややこしい状況だし。

 まあ、俺も倒れてるから、まずはあっちのだいだらぼっちから退治するかってことか。

 だとすると、これは追い風なんじゃないか?

 あれは宇宙人なんかじゃなく間違いなく人だ。

 考えられるなら、なにかの能力者。

 見たことも会ったこともない人。

 警察の特殊部隊とかが着てるような紺色の服を着ている。

 まあ、警察だって当局の一部、とうぜん上層部うえに能力者はいるだろう。

 そんな服に金色の龍が絡まっていてミスマッチだ。

 山田コレクションin六角市、六角駅前、山田もプラチナバンドで白金だし、なんか金色とか白金とか流行りなのかよ。

 どのみち、あの人の敵はだいだらぼっち、つまりアヤカシ。

 俺が、アヤカシじゃないことを説明すれば。

 でも、言葉が。

 これは九久津か寄白さんに任せるしかないな。

 

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