ワタシたちは新人アイドル『レインボー』としてデビューが決定している。
あのワンシーズンにだって負けないくらいに頑張ってきたつもり、文字通り死ぬ気で。
七人組のアイドルだから虹の七色と掛けてレインボー。
個人個人にはテーマカラーがあって“赤”はリーダーとしてセンターを務めることができる。
ワタシは自分の手で “赤” のポジションを掴みとった。
「え~と、デビュー曲が決まりました。タイトルは『七並べ』です」
マネージャーがそう発表した。
曲が決定したのにもかかわらず、みんなの表情は浮かない。
どうして? みんなで頑張ってきたじゃない。
「あんなことがありましたが麗のぶんまで頑張りましょう。七人が並ぶから七並べってタイトルなのよ」
「はい……」
うつむくみんなの返事がきこえる。
麗とはワタシの名前。
ワタシはどうしてもセンターになりたくて「私」自身を赤く染めた。
※
デビューライブ直前の控室。
ワタシの遺影に手を合わせるみんな。
あのときのアー写使ってくれてるんだ。
嬉しい。
「麗。私たち、七人でレインボーだよ!!」
みんなはそう言葉を残し暗転したステージへ消えていった。
ああ、私も混ぜてほしいな。
ライブ開始の合図とともにスポットライトがみんなを照らす。
六人が血塗れで横たわっている。
みんなで合宿したり路上でライブしたり楽しかったね?
七人でレインボーだって言ってくれたよね?
ワタシたちに格差なんて必要ないの。
だからみんなで“赤”になりましょう。
あら、みんな唇が“青い”わよ? ワタシがメイクをしてあげる。
もう、橙、黄色、緑、青、藍色、紫……七色になんてこだわらないでみんな一緒にしようよ。
さあ、深紅なリップを塗ってあげる。
これで死化粧は完成よ。
ワタシたちのデビュー曲『死血並べ』
あの世で七人デビューライブをはじめましょう。