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第324話 傾聴(けいちょう)
九久津は国立六角病院のロビーのソファーにひとりで座っていた。 「こんばんは」 静寂を裂いたのは九久津の耳に…
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第323話 「伊織」と「伊万里」
『繰さんにはちょっと強引に情報提供したから』 「伊織。寄白繰にそんな情報を与えたの?」 『そうだけど』 …
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第322話 灰色の町―戸村伊万里(とむらいまり)―
私は父を尊敬している。 健やかなるときも病めるときも、ふたりもそんな誓いを立てたはずだ。 損得勘定なく、と…
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第321話 燎原の火(りょうげんのひ)
戸村伊万里はカーテンのあいだからそっと街の景色を見下ろした。 窓ガラスに映った自分の顔の向こうに街の灯りが…
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第320話 保護
「フリーエネルギーってそういうこと」 俺がさっき人おれたちを創った神ひとの話をしたのとビルの上がだんだん寒…
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第319話 救偉人の刑事
「はい」 「あやつのどっちつかずの印象の正体なんだが……」 「なんでしょうか?」 「黒杉は地位あるものの…
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第318話 再捜査
どこにでもあるような額に入った横長の「温故知新」が戸村を見下ろしている。 署長はうしろで手を組み窓辺から六波…
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第317話 六角中央警察署 警察署長
テレビを消して静まり返った部屋に女性警察官のブラインドタッチ音が響く。 黄色みがかった壁時計の秒針は裏のリズ…
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第316話 権力者たち
「だとしてもそれをどうやって立証するかだよな? ところでおまえ帰ってきたときなんか怒ってなったか?」 「気…
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第315話 天上人(てんじょうびと)
「でも今はこいつ・・・がしっかりしねーから」 六波羅はテレビに向けてあごをしゃくった。 「班長よくそんな…