【公式】異能者たちの苦悩-連載小説-

　「私も近衛も九条もときどきあんたの鋭さには驚かされるわ。まるで安楽椅子探偵あんらくいすたんていね？」 　『図…

九久津がバシリスクとの戦闘を終えてから数日が経過していた。 　二条はいまだ六角市に留まり、ここ数日の報告書を作…

――ギャァァ!!　 　産女のすすり泣きは断末魔の悲鳴に変わった。 　産女はそのまま断層がずれるように上半身と下…

九久津は安堵した。 　（雛ちゃん。的確な判断だ） 　社は虫の息の姑獲鳥に対しても牽制けんせいし、姑獲鳥がたとえ…

姑獲鳥は上空からターゲットを見つけるとイルカが水中で放つような小さな輪っかを吐き出した。 　輪っかは小刻みにプ…

約半年前。 　それはまだ九久津と社がバディだったころ。 　六角市の南南東の郊外にあるとある廃材置き場。 　社に…

マジシャンが布を浮かせるように和紙の中心部がせり上がってきた。 　紙の先端は天井に向かってゆっくりゆっくりと伸…

ふたたび六角神社。　 　宮司は袈裟の懐ふところから真新しい筆をとり出しその手とは反対の手で袖をつかんで押さえた…

　夜の帳とばりが下りたころ堂流と九久津は居住区に隣接した忌具保管庫にいた。 　堂流が重いパンドラの匣を開くと、…

三週間後。 　 　「ざーちゃん。動くなよ～」 　「……」 　座敷童はニコニコしながら黙ってその場所に立っている…