番外編『偶像たちの悲劇~しちならべ~』


 ワタシたちは新人アイドル『レインボー』としてデビューが決定している。

 あのワンシーズンにだって負けないくらいに頑張ってきたつもり、文字通り死ぬ気で。

 七人組のアイドルだから虹の七色と掛けてレインボー。

 個人個人にはテーマカラーがあって“赤”はリーダーとしてセンターを務めることができる。

 ワタシは自分の手で “赤” のポジションを掴みとった。

 「え~と、デビュー曲が決まりました。タイトルは『七並しちならべ』です」

 

 マネージャーがそう発表した。

 曲が決定したのにもかかわらず、みんなの表情は浮かない。

 どうして?  みんなで頑張ってきたじゃない。

 「あんなことがありましたがうるはのぶんまで頑張りましょう。七人が並ぶから七並べってタイトルなのよ」

 「はい……」

 うつむくみんなの返事がきこえる。

 麗とはワタシの名前。

 ワタシはどうしてもセンターになりたくて「私」自身を赤く染めた。

 デビューライブ直前の控室。

 ワタシの遺影に手を合わせるみんな。

 あのときのアー写使ってくれてるんだ。

 嬉しい。

 「麗。私たち、七人でレインボーだよ!!」

 みんなはそう言葉を残し暗転したステージへ消えていった。

 ああ、私も混ぜてほしいな。

 ライブ開始の合図とともにスポットライトがみんなを照らす。

 六人みんなが血塗れで横たわっている。

 みんなで合宿したり路上でライブしたり楽しかったね?

 七人でレインボーだって言ってくれたよね?

 ワタシたちに格差なんて必要ないの。

 だからみんなで“赤”になりましょう。

 あら、みんな唇が“青い”わよ?  ワタシがメイクをしてあげる。

 もう、橙、黄色、緑、青、藍色、紫……七色なないろになんてこだわらないでみんな一緒にしようよ。

 さあ、深紅まっかなリップを塗ってあげる。

 これで死化粧メイクは完成よ。

 ワタシたちのデビュー曲『ならべ』

 あの世で七人デビューライブをはじめましょう。