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第110話 疑念
「これから先の会話はカルテのような書類にはいっさい残しません。すべては僕の中に留めておきます。ということであ…
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第109話 孤高の医者(ひと)
「九久津さん?」 九条はそっと白衣を脱ぎ、クルっとたたんで机の上にゆっくりと置いた。 そのしぐさはタンス…
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第108話 カルテ:病名1 【呪詛による。右上肢(みぎじょうし)の化石化(ミネラリゼーション)】 病名2 【ポイゾナスルーティーン(毒回遊症)】
「はい」 九久津は九条の表情を確認しながらうなずいた。 「九久津さんの現在の魔障は顆粒層止まりです。このぶ…
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第107話 総合魔障診療医 九条千癒貴(くじょう ちゆき)
ここの診療室は無機質な部屋とは違っていてデザイナーズマンションのように近代化されている。 内装もとても患者を…
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第106話 内部
いくつもの大きな窓が幾筋もの光を迎え入れていた。 燦々さんさんとした木漏れ日のような・・・陽射しは、廊下と室…
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第105話 ミッシングリンカー「タイプC」
「その声って鷹司官房長官?」 二条の口をついて出た言葉はここ最近国民の耳目じもくを集める国務大臣の名前だっ…
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第104話 閾値(いきち)
「私も近衛も九条もときどきあんたの鋭さには驚かされるわ。まるで安楽椅子探偵あんらくいすたんていね?」 『図…
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第103話 瞬きひとつで終わる人生
九久津がバシリスクとの戦闘を終えてから数日が経過していた。 二条はいまだ六角市に留まり、ここ数日の報告書を作…
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第102話 畸形種鋳型(きけいしゅいがた)―キメラタイプ―
――ギャァァ!! 産女のすすり泣きは断末魔の悲鳴に変わった。 産女はそのまま断層がずれるように上半身と下…
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第101話 下級アヤカシ うぶめ
九久津は安堵した。 (雛ちゃん。的確な判断だ) 社は虫の息の姑獲鳥に対しても牽制けんせいし、姑獲鳥がたとえ…