{{狐憑きつねつき：九尾きゅうび}} 　最初の変化は口調からはじまる。 　九条のいつも穏やかな話しかたは患者…

ここぞとばかりに群がってきた魑魅魍魎はある種救いを乞うように喚きながらつぎつぎに九条へと覆いかぶさっていった。…

これからどんなに痛いことがあるのか？　これからどんなに苦しいことがおこるのか？　これから先の生活は？　治療費は…

九条が思い浮かべたのは日常を切磋琢磨する同僚の顔だった。 　それは同じ【総合魔障診療医】の只野或人ただのあると…

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 　九久津堂流　Ｓｔｅｒｂｅｎステルベン ■■■■■■…

　「九久津さん。昨日、目を覚ましたばかりなのについつい質問をしすぎました。日をあらためます。すみません」 　「…

九条は九久津にいい返したこともたくさんあったけれど、諸々の事情を飲み込み冷静に気持ちと折り合いをつけた。 　医…

　「これから先の会話はカルテのような書類にはいっさい残しません。すべては僕の中に留めておきます。ということであ…

　「九久津さん？」 　九条はそっと白衣を脱ぎ、クルっとたたんで机の上にゆっくりと置いた。 　そのしぐさはタンス…

「はい」 　九久津は九条の表情を確認しながらうなずいた。 　「九久津さんの現在の魔障は顆粒層止まりです。このぶ…